hikari【短編集】
★恋人の日 side nozomi
今日は6月13日。
さっき悠哉からのメールで知ったんだけど、今日は恋人の日なんだそうだ。
ちなみに悠哉は、これから彼女の灯里ちゃんとデートすることを自慢する為に私にメールしてきたのだ。
「はぁー……」
『希も杉田と何かすれば?』って、悠哉に絵文字たっぷりメールを送られた私は、思わずため息を漏らす。
今日は平日。
もちろんかーくんは仕事。
デートどころか、会う約束すらしてないし……
別に恋人の日だから会いたいって訳じゃないけど、知っちゃった以上、今日を1人で過ごすのは寂しいよね…
♪♪♪〜…
「うわ……っ!!」
そんなことを考えながら携帯を閉じた瞬間、最近設定し直したお気に入りの曲が流れ出した。
かーくんから電話だ。
慌てて通話ボタンを押す。
「は、はいっ!!」
『……希?大丈夫か?』
かなり慌てて電話に出たせいで声が裏返った私に、電話の向こうにいるかーくんはいつもより低い声で心配そうに言った。