hikari【短編集】



で、なんで今日、かーくんがいきなり私を迎えに行くなんて言ったのかというと…



「…俺、前髪長くなったんだよ。ウザいと思わない?」



かーくんはそう言うと、メガネを取って自分の前髪を触り出した。



「え?んー…そう言われれば目にかかってるし、ちょっと鬱陶しいかも…」



「だろ?だから切って。」



「……はい?」



「自分じゃ切れないから……希が切って。」



…ちょっとでも期待してしまった私がバカだった。



このかーくんが「今日は恋人の日だから、どうしてもお前に会いたかった」なんて言う訳ないじゃん…



恋人の日なんて知らないよね……わかってるよ。



だって、自分の誕生日も普通に忘れる人なのに─



「希……?」



「……わかった。ついでに後ろも気になるから、セットしてあげるね?」



「…?おぅ……」



ちょっとだけ…
ちょっとだけ、悲しい─






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