hikari【短編集】
それからかなり時間がかかってしまったけど、ようやくカットが終了した。
「かーくんの髪質って寝癖付きやすいから、出来るだけそれを避けられるようにしたの。あとは、これから夏だから暑くなるし、だいぶ短めにしたけど…どうかな?」
私の説明を聞いているのかいないのか、かーくんは鏡を見ながらボーッとしてる。
ひょっとして…
気に入らなかったのかな?
「…かーくん?」
「希……お前、すげぇな。俺、こんなしっくりくる髪型初めてだよ。」
そっか─
ならよかった…
「…希、ありがとう。」
「うん……」
「ま…本番はこれからなんだけどな。」
え……?
「希…俺がただ髪切って欲しいってだけで、お前を呼ぶと思うか?」
「いや、えっと…え?」
状況が読めない私にかーくんは笑顔を向け、そのままギュッと抱きしめた。
「……!!」
「希…今日は何の日?」