hikari【短編集】
事の発端はついさっき。
仕事から帰った俺がいつものように茉央と遊んでいた時、茉央が突然言った。
『パパー?まおねー、ママだいすきだから、おおきくなったらママとけっこんするのー。』
その発言に俺は黙っていられなくなり、今に至るという訳だ。
「茉央。常識的に考えたらな、自分の母親とは結婚出来ないんだ。」
「…そんなこと大真面目に言うかーくんの方が常識的じゃないよ。」
希の否定的意見が聞こえるが、また無視することにする。
「茉央、結婚するなら美海【ミウ】ちゃんにしとけ。」
美海ちゃんとは、茉央の2日後に生まれた幼なじみのことだ。
生まれた病院が同じで、美海ちゃんの母親が希と同い年だから、親子揃って仲が良い。
そういう関係で、俺は美海ちゃんの父親とパパ友達だったりする。
「みうー?」
「そう。茉央には美海ちゃんがいるんだから、ママは諦めろ。…いいな?」
「わかったー!」
よし。
さすが俺の息子だ。聞き分けが良くて助かる。