hikari【短編集】
その日の夜─
「おかえり…お父さん。」
家に帰って来たお父さんを、私は1人で出迎えた。
「なんだ?希…珍しいな。何か…あったのか?」
不思議そうに私を見るお父さんに、私は意を決して伝えた。
「うん…実はね、今日…お父さんに、会って欲しい人が、いるの。」
「会って欲しい人…?」
私がそう言った途端、お父さんの表情が険しくなった。
「彼氏…か?」
「…うん。」
「どこに…いるんだ?」
どうやら会ってくれる気はあるみたいだけど、いつものお父さんじゃない。
なんか、怖いよ…
「こっち、だよ……」
恐怖感を抱えながら、私はお父さんと一緒に、かーくんとお母さんのいるリビングへと歩き出した。