hikari【短編集】
お父さんの大声に、私は思わず目を瞑ってしまった。
そして、パンッ!と何かを叩いたような音がしたけど、自分に痛みはやって来ない。
恐る恐る目を開けると…
「………っ」
目の前にはかーくんがいて、無言で痛そうに頬に手を当てていた。
お父さんに…
殴られたんだ─
「…っ、殴るなら…僕を殴って下さい。希さんは…何も悪くありません!」
「かーくん……っ!!」
こんな時に…
突然気分が悪くなり、私はその場にしゃがみ込んだ。
「希!大丈夫?」
お母さんが私に駆け寄って来て、優しく背中を擦ってくれた。
かーくんも心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「はぁ……はぁ……」
そんな私の様子を、ただ1人事情を知らないお父さんが呆然と見つめていた。
「どういう…ことだ?」