hikari【短編集】



「…はい//こちらこそ、ご迷惑かけると思いますが、どうか、よろしくお願いします。」



しっかりしてるな…
希ちゃん。



ひょっとしたら、一真よりしっかりしてるかも…









「…兄貴。」



そんなこんなで、一真と希ちゃんが帰る時間がやってきた。



「ん〜?」



先に希ちゃんを車に乗せ、一真は俺を振り返り、玄関まで戻って来た。



「な…なんだよ?」



「兄貴も……早く結婚出来るといいな。」



なっ…!?//
こ、この野郎…っ!!



「じゃあ…元気で、な…」



「お、おぅ…お前も、な。」



もう少し気の効いた言葉の1つくらい、かけてやれればいいのに…



そう思うだけで、実際は間抜けな言葉しかかけられなかった。









大きくなった弟の背中。



それを見てると、もうあの頃の甘えん坊の弟はいないことを実感させられた。



『頑張れよ…一真。』



言えないその言葉を胸に、俺は静かに、弟の背中を見送った。






―END―












< 39 / 237 >

この作品をシェア

pagetop