hikari【短編集】
そう思ったけど、やっぱり見てると面白い。
俺はどちらかの味方をするでもなく、間に入って仲裁するでもなく、ただただ見守っていた。
「やだよぉ……こんなとこ、見えちゃうぅ……」
「あぁ…悪い、ごめんって。…でもさ、絆創膏貼ってれば大丈夫だよ。」
すると、案外早くに杉田が折れ、希に謝り出した。
希はというと、さっきまで怒っていたのが嘘のように、半泣き状態で杉田に抱きついていった。
「中津…見るな。」
そんな希を抱きしめた後、杉田は俺に気付き、低い声でそう言った。
「わ〜ったよ!じゃ、俺帰ろっかな…邪魔っぽいし。」
「…そうだな。お前、すごく邪魔だ。早く帰れ。」
そんな直球で言わなくても…
わかってたことだけど、いざ杉田に言われると悲しくなるな─