hikari【短編集】
ずっと…我慢させてきたんだ。
俺たちの関係が教師と生徒だったこともあり、俺が帰って来た後も、希は完全に俺に甘えることをしなかった。
希は…
ずっと、自分を縛り付けてたのかもしれない。
まだ抜けないんだ。
あの時の気持ちが……
希が苦しんでたことを気付いてやれなった自分が、今…ものすごく憎い。
目の前で無理して笑う希を、俺はきつく抱きしめた。
「かーくん、痛いよ…」
「ごめん…ごめんな…希。」
「なんで…謝る、の?かーくんは…悪くないよ…?」
俺は…悪くない?
違う…
全部、俺が悪い。
「泣かないで…かーくんが泣いちゃったら、私も…赤ちゃんも…悲しいよ…」
希はそう言って、俺の背中にそっと手を回した。
その時初めて、俺は自分が泣いてたことに気付いた。