hikari【短編集】
でもま…いいや。
「じゃあな、お2人さん。どうぞお幸せに〜!」
この2人が色々苦労してきたのは、俺が一番よく知ってると思う。
だから…
幸せになって欲しい。
これは本当の気持ちだ。
「…中津。」
2人に背を向けて歩き出そうとした俺を、杉田が突然呼び止めた。
「なに?」
振り向かずに答える。
「…ありがとな。」
「………」
何に対しての礼なのかは、俺には一瞬でわかった。
「…ふん。礼なんかされる覚えねぇよ、バカ杉田!!」
けど、敢えてそう言った。
いつものように…
喧嘩腰に。
「…そうだったな。」
もうあの頃の奴はいない。
大丈夫だ…
俺はそう信じてる。
表には出さないけど─
「あ〜あ…なんか調子狂うな〜。誰かさんが変なこと言うからー…」
「中津…」
「もう帰ろ〜!希、そいつのこと、絶対離すなよ。」
「……え?」
「じゃ〜な〜!!」
邪魔者は…
早く退散しないとな。
―END―