hikari【短編集】
情けねぇな……
今、不安で、苦しくて、一番泣きたいのは、希のはずなのに──
俺が泣いてどうする…?
しっかりしろ…
俺はもう…人の親なんだ。
俺は自分にそう言い聞かせ、流れる涙を拭った。
「希……結婚しようか。」
「…え?」
いつまでもこんな関係を続けるつもりはなかった。
3年前─
俺は希に言ったんだ。
あの時の決意は…
今でも少しだって揺らいでない。
「ちょっと順番間違えちゃったけど…許してな?希…」
「……うん。」
「俺が守るから…希も、お腹の子供も…全部。だから……希、」
「……?」
「迷惑だとか、困らせるとか、そんなこと思わないで欲しい。遠慮なんかしないで、俺に甘えて。な?」