hikari【短編集】
目を閉じて聴いていると、今にも寝てしまいそうになる。
「…あ。もう……こんなところで寝ないでよ?茉央もいるんだから…」
「大丈夫。続けて。」
これは……茉央と結愛がすぐに寝る訳だな。
身を持って実感する。
「守ってるつもりでも……守られてんだな、俺って。」
「え?なに?」
小さな声で呟いたその言葉は、希にはちゃんと伝わらなかったようだ。
でも…
敢えてこう言っとく。
「いや…何でもない。」
恥ずかしいからな…
「なに〜?気になるじゃん……ねぇ、一真さん!」
「……知らない。」
結愛が生まれてから、たまに使われるその呼び方。
あだ名の方に慣れてしまったせいか、こう呼ばれるとドキッとする。
「…この歌好きだなぁ〜って、そう言ったの。」
「嘘……絶対嘘だ!!」
「希、声でかい……茉央が起きるだろ?」
「教えてくれるまでず〜っとこう呼ぶから。ねっ、一真さん?」
「……………」
あの子守唄の優しい感じはどこへ行ったのか…
小悪魔な希に、俺は苦笑いを返すしかなかった。
−END−