hikari【短編集】
「無理すんなよ……希。」
かーくん……
「でも……私、っ…!」
反論しようとした私の口元にかーくんは人差し指を立て、何も言わずにゆっくりと首を横に振った。
そして、笑顔を浮かべたかと思うと、私の唇に優しくキスをした。
それは…
一瞬の出来事だった─
「早く治して元気になって……な?希。」
キスなんてしたら、余計にうつしてしまう可能性が増える。
でも…
『やめて』とは言えなかった。
……大好きだから。
何も答えられずに、かーくんを見つめるだけの私。
そんな私を見てかーくんは何を思ったのか、自分の額を私の額にピタッとくっつけた。
「………?」
「…熱いな。冷えピタ、替えよっか?」
心なしか……
そう言ってるかーくんの頬が、赤くなっているように見えた。