hikari【短編集】
茉央はよく人見知りをする。
慣れてる人は問題ないんだけど、初めての人には口を利こうともしない。
俺が抱き上げてやると、茉央は俺の服をギュッと掴み、そのまま顔を上げようともしなかった。
「…ごめんな、美久。こいつ、人見知りひどくて……」
「いいわよ、別に。私子供苦手だし。それより……その子、あの時の生徒さんとの?」
美久は希のことを知っている。
美久と希は会ったことはないが、俺と希と付き合っていることが学校にバレそうになった時、一度だけ相談したことがあった。
あの時は…
だいぶ勇気もらったな─
「…あぁ。あの時はありがとう。おかげさまで乗り切れた。今は結婚して、一応平和にやってるよ。…お前は?」
「私?別に…あんまり変わんないわよ。でも、アンタが父親なんてね……昔のアンタからは想像もつかないわ。」
だろうな。