hikari【短編集】
え…
どう、なってんの?
「の……ぞ、み?」
希が何故泣いているのか、俺には理由すらわからない。
検討もつかない。
とりあえず話を聞こうと、俺は希の肩に手を伸ばした。
すると……
「触らないで!!!」
急に大声を出され、驚いた俺はすぐさま手を引っ込める。
てか…
希、さっき何て言った?
『触らないで』…?
そのセリフ…
何気に傷付くんですけど─
「……希、一体どうしたんだよ?言わなきゃわかんないだろ?」
今すぐにでも落ち込みそうな勢いだが、そこには目を瞑るとして…
俺は希に問いかけた。
「綺麗な女の人……」
しばらく待つと、希は呟くようにそう言った。
綺麗な、女の人…?
「え…何それ?誰だよ?」
希の知り合いか?
「…誤魔化さないでよ!!」