hikari【短編集】
混乱していると、いつの間に来たのか、茉央が俺のすぐ側にいた。
不安げな顔で……
俺を見上げる茉央。
「茉央………」
さっきの騒ぎが、茉央の耳にも届いてしまったのか─
「怖かったか?…ごめんな。」
俺はその場に膝をついてしゃがみ、目の前の茉央を抱きしめる。
「…………」
茉央のためにも…
早く希と話さなきゃ。
よくわからないが、今の俺たち、喧嘩したみたいになってるし…
とにかく何が希をあんなにしたのか、それを突き止めないことには、何も始まらない。
心当たりを探すが…
全く見つからない。
「あ……」
そんな時、さっきまで希がいたソファーの上に、開いたままの希の携帯が転がっているのが目に入った。
「中津……?」
画面に表示されていたのは、何故か着信履歴。
最近のは……
ほんの数分前。
電話の相手は……
希の幼なじみであり、かつての俺の生徒、中津 悠哉だった。