hikari【短編集】
それから、俺は中津に今までのことを全て聞いた。
最近俺は、自分のクラスでややこしい問題が起こり、遅くまで学校に残らなければならなかった。
そのことは、希には詳しく話していなかった。
いつも直帰だった俺の帰りが数日間急に遅くなりだしたから、希は不安に思い、中津に相談していたそうだ。
知らなかった……
そのややこしい問題もやっと解決して、ようやく取れた今日の休み。
俺が美久に会った時、中津は近くにいたらしい。
全然気付かなかったが─
親しげに話す俺と美久を見て、中津はもしや…と思い、希に連絡した。
『最近帰りが遅い』
『遅くなる理由を話さない』
そんな俺の態度から、2人の間では、俺が誰かと浮気しているのではないかという仮説が立てられていて…
その誰かが…
美久だと思われたようだ。
『綺麗な女の人』=美久。
…なるほどな。
あながち間違いではない。
でも、俺は断じて浮気なんかしてないし、するつもりも更々ない。
中津の話を聞いた後、俺は全ての誤解を解くため、希の部屋のドアの前に立った。