人魚姫~その恋は永遠に~
「セシル様…私もセシル様を愛してます。さっき出会ったばかりなのに…。おかしいくらいにセシル様を愛しているのです。」
「俺もだ。おかしいくらいにメアリーを愛してる。」
王子様はメアリーの髪をそっと持ち、そのままメアリーの口にキスをしました。
そのキスは満天の星空と王子様とメアリーだけが知っているキスでした。
「セシル様…」
メアリーは悲しい顔をしました。
「私は、さきほどおっしゃったようにセシル様を心から愛しています。ですが、私とセシル様は住む世界が違うのです…。人魚界には掟があり、それを破ると泡となって消えてしまうのです。」
『その掟とは?』
「人間に見つからないこと。人間に…恋をしないこと。」
メアリーの頬にたくさんの涙が急に流れました。
「セシル様、私はセシル様を愛しています。この気持ちは変わりません。」
メアリーは、指につけていたダイヤの指輪をはずします。
「ですが、人魚界の掟には逆らえません。まだ、このことは私とセシル様とこの空に輝く星しか知らないはずです。どうか、これを私だと思ってお持ちになってください。」
メアリーははずした指輪をセシルの指にはめました。
『メアリー姫…。』
「私は、永遠にセシル様を愛しています。」
『俺も、メアリー姫を永遠に愛するよ。たとえ、この先会えなくても…。』
王子様は、思いっきりメアリーを抱きしめました。
「セシル様、いつか会えます。生まれ変わっても、私はセシル様を愛します。」
メアリーの涙は、透明な涙でした。
誰よりも透明な涙でした。
そして、誰よりも美しい涙でした。