Candy
アタシの顔と相原の体がぴったりくっつくと、嫌ってほど相原の匂いがわかる。
甘ったるい、香水の匂い。
そんな香りに包まれながらも、未だ体は硬直したまま。
何も考えられないはずなのに、感覚的に思ったことがひとつ。
───あたし、この匂い嫌いだわ。
「…あれ、おっとなしいなー。マジで俺に抱かれたいんか?」
「はっ…!!?」
ボンッと、一気に顔に熱が集中する。
絶対今、あたしの顔真っ赤だ…。
「ふ…ふざっけんなっ!!!」
ドンッ!!
「おわっ」
動きにくい体に喝を入れ、思いっきり相原を突き飛ばし、腕の中から飛び出した。
「自惚れんな!!こんの…クソ女タラシ野郎!!!」
そう叫ぶと、保健室からダッシュで逃げた。