Candy
息を切らしながら裏庭に駆け込む。
「…んっだよアイツ…!!」
あ…あ…ありえねー……!!
まだ心臓がうるさい。
なんだよ……なんなんだよ!?
大体!
あたしみたいなオトコオンナなんかからかって何が楽しいんだよ!!
…なに、さっきのあたし。
心臓はうるさくなるし、顔は赤くなるし………
キモッッッ!!
あんなのあたしじゃねー!!
乙女かっ!
乙女!?は!?
このあたしが乙女!?
ないない無縁無縁。
きもちわりいぃぃぃおえ!!
まだ、あの甘ったるい匂いと体温がからだにまとわりついてる。
…忘れよ。
忘れよ、忘れよ忘れよ。
ちょっとでも、あの康平かもって思ったあたしがバカだった。
康平は優しかったし、あんな不良になんかなんないし、第一いじめられっ子だったし。
ただ、名前がいっしょ、それだけだろ!!
もういいや。
考えんのやめよ。
思考回路ストップストップ!!
あたしはそのままブレザーを枕に敷き、後ろに倒れ込むと、いつの間にか眠りに落ちていた。