Candy
「な…なに……?」
「何をそんな焦っとんの?俺が怖い?風村殴ったから?」
「ちがっ…」
そっと手を伸ばし怜奈の髪に触れると、ビクッと反応した。
「こ、康平……やめて?」
怜奈は震える手でやんわりと俺の手を押し返す。
はぁ…
俺が怖いのか…
手なんか震えちまっとる。
風村を殴らなければこんなに怖がらんかったんかな。
別に、今更後悔とかせんけど…ちょっと痛い。心臓が。
俺は、弱く抵抗する怜奈を優しく抱きしめた。
「康平…!?」
付き合ってたときはそこまで深く感じてなかったのに、今になって腕の中にいる小さい怜奈に愛しさを感じる。
あぁ…本当、バカ……
なんでや…
今まで一緒におったのに……
なんで………クソッ…
「ダメ…は、はなして…康平」
「もいっぺん、俺の名前呼んで」
「な、なんで」
「良いから」
「……康平……?」
俺はその声を、しっかり耳に焼き付けた。