Candy
「でもさ、蘭。間違われんのもしょうがないよ。あんた、カッコイイもん」
「…はあ。全く嬉しくないけどアリガトウ」
「でもでもー茶髪のショートに、丁度よく焼けた肌!」
「165センチの身長、整った顔立ち」
「声変わりしかけの男子みたいな、中性的なハスキーボイス!!みつき、蘭の声大好き!」
「何二人であたしの紹介してんだ。やめろ!」
「声も見た目もパッと見中学生男子だよね」
「もーとりあえず女の子には見えないよね!」
「おい、失礼だぞ!」
「でもさーあんたわざわざズボン履いてんじゃん?それも悪いんじゃないの?」
「あぁ、そうだよね!パッと見全然男子と区別つかないし」
「…ぅ」
そう、何故制服を着ているのに男と間違われたかと言うと、多分あたしがズボンを履いてるから。
あたしの学校は、女子の制服はスカートかズボンか選べるという、県内でも珍しいシステムになっている。
だから迷わずズボンにしたってわけ。
「しょーがないだろ、似合わないんだから」
「蘭〜ミツキのダーリンになって〜!」
「何でそうなる」
なあーにがダーリンだよ。
あたしは女だっつーの!!
親が
『鈴蘭の花のように、かわいらしく育つように』
なーんて可愛らしい名前つけちゃうからさ?
完ッ全に名前負けだよな!!
はぁー…
どうせなら男女共通で使える名前がよかったわ。