Candy
「はい、これ使って!!ごめんね、これから親戚皆で夕食だから、送って行けないや…」
「いや、全然いいし!充分これだけで有り難いっつーの!! ──え」
「どしたの?変な顔して」
「い…いや、なんでもねぇよ!とにかく助かった!!ありがとう!!」
やべぇよこの傘。
何気なく柄のとこ見たら、めちゃくちゃ高いブランドのロゴマークがついてた……
こりゃぜってー汚しちゃいかんな……
「そう?ならよかった。じゃあみつき行くね!バイバーイっ」
「じゃあなー」
みつきは再び傘を差し、車に乗り込む。
黒い外車は走り出し、見えなくなった。
「さて…帰るか」
雨宿りなんて面倒臭ぇし。
相変わらず激しい雨にいらつきながらも、傘を差したその時。
「ら〜んっ」
後ろから、声。
…この声さ
あいつしかいねーじゃん……。