Candy
「──ただいまっ!!!」
「お帰り、蘭…って、あら?」
家に着くなりあたしは、急いで自分の部屋へと走った。
「どうしたのかしら、あんなに急いで」
「ない……ない……」
サゴソと物で埋め尽くされた押し入れを漁る。
何を探してるかと言うと……
「あっっった!!!アルバム!!!」
そう、幼稚園の卒業アルバム。
表紙に付いた埃を拭い、1ページ目を開く。
なわけねぇ……
こうちゃんと相原が同一人物だなんて!
あるわけねぇ!!
無いと言ってくれ、神よ!!!
淡い期待と祈りを胸にパラパラとページをめくっていくと、個人のプロフィールが載っているページにたどり着いた。
あいはら、こうへい……
いた…前から2人目。
右上にはこうちゃんのポーズを決めた写真が貼ってある。
「…………相原だわ」
大きな変化はあるものの、顔がまるっきり幼くした相原だった。
しかも、動かぬ証拠がひとつ………
"あいはらこうへい"
………………
「同姓同名じゃねぇかよ!!!!!」
プロフィールの「さいきんうれしかったこと」の所に、「らんちゃんがまもってくれた」と下手くそな字で書いてある。
スパァン!!と勢いよくアルバムを閉じ、頭を抱えた。
……かんっがえらんねぇ………
綺麗な思い出だったのに………
あいつがこうちゃんなんて………
やりきれなさすぎて、泣きそうだった。
「アホらし…」
ほんとバカみてぇだ、あたし……
でも
マジで
信じたくねぇッ!!!!!!
「神のバカヤロー!!!!!」
「蘭うるさい!!」
ドカッと母親にドアを蹴られる。
「すんません」
くそ…っ
くそうおぉぉぉおぉぉッ……!!!
認めたくない現実に、あたしは一人のたうち回っていた。