Candy
-康平-
「ぶっ…くっくくく……ブフォッ!!」
「ちょっと、康平!!何しとん!!汚い!!」
スパァン!!
「ぶへっ」
姉貴の平手が俺の右頬に飛んできた。
いってえぇ〜!!
「食事中に吹き出すのやめなさいよ!一緒に食べとる人に失礼でしょ!!ド汚いわ!!」
「すんません…」
今は晩飯を食ってる最中。
今日、俺が昔のこうちゃんだと知り、尚もムキになって否定する蘭の顔を思い出し、つい吹き出してしまったのだ。
「それにしてもあんた何なんほんと?思い出し笑い?」
「まぁ…」
「……はは〜ん…。あんた、好きな子でもできたんじゃないのぉ〜??」
姉貴は面白いことでも考えついたときの様な笑顔を俺に向けた。
「んー……姉貴さぁ、蘭ってわかる?幼稚園とき、よくいじめっ子から俺を助けてくれた女の子」
「蘭…? なーんかそういえば聞いた様な気もするわね…。いじめっ子から守ってくれる女の子がおるって。全然覚えとらんけどな。それでその子が何なん?」
「それがさ、ほんと最近知ったんだけど高校一緒だったん」
「な〜るほど!!わかったわ!!蘭ちゃんて子が好きなわけ!!」
「いやそれはない」
「…………」
「…………」
「…………何やつまらん」
姉貴は食器を持ってぷくーっと頬を膨らましながら、食器を持って台所へ消えて行った。
「つまらんくて悪かったな!」
まず俺が蘭を好きになることは、例え地球が爆発したって絶対ありえん。
そんぐらい、蘭にはぶっちゃけ女としての魅力がない。