魔女さんと青春してる僕ら
魔女さんのお引っ越し

お隣さん

 お隣さんに、『誰か』引っ越してきたらしい。
 キャリアウーマンな母さんが言うには、美人な女の人だったから、挨拶が楽しみ、だとか。――本当に美人なら、夕飯お裾分けしようかな。

 どうせ、夕飯は僕が作るのだし。料理の腕前には、少し自信があるのだ。
 よし、今日は筑前煮と冷しゃぶサラダにしよう。
 朝食後にはトラックが荷物を運んでいたから、挨拶にくるとしたら夕方だろう。夕飯の時間にぴったり合うはずだ。


 スーパーでまだ見ぬ美人を妄想しながら、僕は燃えていた。
 料理を作る人なら分かるはずだ。正確にいうと、料理を作る男なら分かるはずだ!美人の胃袋(ハート)をゲットしたいという野心が!



 まあ、そんな夢を見ているわけじゃないけど、新しい人に食べてもらえるって、結構楽しい。
 母子家庭だから、料理を食べてもらえる人はいつも一人だから。


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