魔女さんと青春してる僕ら
魔女。それは、昔の欧州では恐ろしい力をもつ故に、狩られたという。人と異なる力をもち、自然を利用し、自然と共生したとも。その加護の力で、未来さえ見通したとも言われる。
現在の魔女の意識は、箒で空を飛ぶイメージや、とんがり帽子を被った姿だったりする。けれど、一説によれば霊能者という見解もある。
その魔女が、現在、僕の目の前にいるというのだ。桃色の美しい髪、エメラルドグリーンの瞳、タンクトップにショートパンツという、可愛い花沢さんが!
まあ、花沢さんったら冗談がお上手。とここはボケるべきなのだろうか。僕は真面目に一瞬悩み、空気を読んで花沢さんにのっかることにした。
「えっと……だと、すると僕が聞いた爆発音、は?」
「私の魔法が失敗したの。魔法を創ることに」
「魔法を、創る」
僕は、言葉に魅了された。その言葉のもつ可能性、というものに。人が成し得ないことを成せる魔法を、創ること。それは、何ものにも変えられない価値だ。
うっとりと言葉を繰り返した僕に、彼女は笑みを深めて話す。