魔女さんと青春してる僕ら


 僕が差し出した筑前煮を、彼女は無言で見つめていた。
 もしかして、筑前煮が嫌いだったんだろうか?

「あ、筑前煮だめでしたか?」

 恐る恐る尋ねると、ガシッと肩を掴まれた。女性にしては強い力で掴まれて、僕はうっすら焦りと恐怖を感じる。

「え、え!?」

「ありがとぉおう~。私、料理ダメダメなのよ。本当に困ってたのありがとう!」

 彼女は本当に嬉しそうに、掴んだ僕の肩をぶんぶん振り回した。
 ぶんぶん。本当にぶんぶん。

「あ、あ、え。あ、どどどういた、し、ましっ、て」

 ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん。

「ありがとう。ありがとぉおう!」

 ぶん、ぶんぶん。ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん。

「い、いい、いや、そっ、のっ。」

 ぶんぶんぶんぶんぶん。ぶん、ぶんぶん、ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんっ。

 しゃ、しゃ、喋れな、いっ!


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