魔女さんと青春してる僕ら
だんだんと上手く喋れなくなりパニックになった僕は、思わず彼女の腕を掴み力を入れた。
脳が揺さぶられたせいで、平衡感覚が狂っていくのを感じる。
「あ。ごめんなさいっ」
腕に力を入れると、彼女は揺さぶりをやめた。
「げほっ。いや、大丈夫です。」
ようやく自分がぶんぶんし過ぎ――いや、揺さぶり過ぎたことに気づいたんだろう。
彼女は眉を下げて、謝った。
まあ、本当に無自覚だったようだから気にしていないのだけど。
彼女は再び謝って、もう一度宜しくお願いしますと言うと、隣に帰って行った。
僕ら家族は、こうして今の魔女さんに出会ってしまったのだ。『魔女』という単語に、何の、違和感も感じないで。