最愛 1st…過去
「そんなキレんなよ、ゆず。」
「キレてないわよっ!できたから、行こっ。」
私は快斗の腕を引っ張り、下に降りた。
「柚月、もう少し早く起きなさい。快くんに迷惑でしょ!」
「大丈夫っすよ、おばさん。ゆずにはもう慣れてますから。」
「ごめんねぇ、快くん。」
「いえいえ、じゃ行ってきます。」
アホらし。
ママの前ではいい子ちゃんして!
「快斗!今日は自転車で行こ!」
「だな。ゆず、早く乗れ。」
私は快斗の後ろに乗り、抱きついた。
ねぇ、快斗………
私ね、この瞬間が一番幸せなの。
このために、わざと遅刻してるって言ったら、
間違いなくあなたは怒るね。
だから………言わない。
私だけの秘密。
何とか間に合って、私たちは遅刻せずにすんだ。