幸せという病気
次の日、空は青一色に晴れ、そんな晴れた空の下、一つの小さな墓が出来た。



そして武、竜司、遥、香樹の四人は病室にいた。



「遥・・・しょうがないよ」



竜司がそう言うと、遥はベッドでただ泣いている・・・。



「・・・しょうがないって何・・・?なんで・・・」





その墓は、竜司と遥が二人で助けたポチポチの墓だった・・・。



武が、遥にゆっくりと話す。



「遥・・・ポチポチは病気だったんだ・・・もう帰ってこない」



「・・・どうして・・・どうして私の家族はみんなどっか行っちゃうの・・・?なんで・・・」



そんな遥の姿を見て、香樹がそっと遥に寄り添った。



「・・・もう・・・やだよ・・・お父さんもお母さんも、ポチポチも・・・みんないなくなってく・・・」



「俺たちがいるでしょ?」



竜司のその言葉に、遥は覇気の無い声で喋る。



「・・・いずれいなくなるんだよ・・・みんな私から離れてく・・・」



「どうしてそんな事・・・どこにもいかないって」



「・・・でも・・・私が先に死ぬし・・・離れてくのは私か・・・」



竜司は必死に遥を慰める。



「遥。頑張ろうっていったじゃん。弱気になっちゃ・・・」



すると、武が低い声で口を挟んだ。



「甘えてんじゃねぇよ」



その言葉を聞いた竜司が、普段と違う武に少し驚きながらどうしたのかと聞くと、武は冷たい口調で話し出す。


「甘えるなって言っただけだよ。おまえだけが悲しいのか?香樹だって悲しんでんだ。おまえが余計に悲しませてどうすんだよ」



「・・・」



遥は黙って下を向いている。



「ポチポチは犬だ。人間より先に死ぬのは仕方ないだろ。ペットを飼うなら、最初にそれを覚悟して飼えよ」



「わかってるよ!!!」




そして武にそう言われると、遥は抑えていた感情が飛び出し、涙が溢れた。

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