幸せという病気
「あ・・・地震だよね?」
「もうやだー地震・・・」
一方、風呂に浸かっている三人。
「あ~やっぱり疲れだよ、疲れ。目の前揺れてる」
武がそう言うと、竜司が冷静に答える。
「武さん、これ地震ですね」
「・・・けっ、つまんねぇ男だぜ・・・」
揺れが治まると、遥はすみれに興味津々に伺う。
「そう言えば、地震の日に告られたんでしょ?お兄ちゃんに」
「うん」
「どう思った?」
「ん~・・・この人正気かなぁって・・・」
「キャハハッ!ウケるぅ・・・お腹痛ぃ・・・バカ兄貴だバカ兄貴」
竜司も湯船に浸かりながら武に伺う。
「そういえば武さん、地震の日に告ったんですよね?」
「そうだけど?」
「なんて言ったんすか?ねぇねぇ」
「・・・いや・・・好きだって・・・」
「ハハハハッ!ウケるし!」
「ツボがわからん」
続けて、竜司が顔を拭きながら話し出した。
「・・・でもよかったですね。幸せそうですしすみれさん」
「そう見える?」
「見えますよ」
「・・・淋しいって言ってたんだけどなぁ」
「・・・まぁ・・・そうも見えます・・・でもこうやってると、病気だとか色々忘れられますねぇ~」
「そうだなぁ~」
「・・・遥は・・・いつまで生きていられるんですかね・・・」
と、突然竜司は暗い顔をした。
「・・・全然忘れてねぇじゃん・・・」
武がそう言うと、考え込むように竜司は話し出す。
「ってか俺は一体・・・何やってんだろ・・・」
「え?」
「この前、武さんのおばあちゃんに言われました。俺は俺でいいって。でも・・・何にも出来ない。ただ、遥の傍にいるだけで・・・なんかかっこ悪いっすよ」
竜司は少し笑って、悔しさを隠して見せた。
「・・・まぁ、とにかく浴衣は小さくてかっこ悪いけど、おまえは大きい人間なんじゃねぇ?・・・俺はそう思うよ?多分。あ~!ってかのぼせたなぁ~」
そう言いながら、武は先に風呂をあがる。