幸せという病気
「私は・・・・・・死んじゃうから・・・」
そして武は、涙声の遥の頭をそっと撫でた。
「・・・竜司には・・・ほんと感謝してるんだぁ・・・私なんかを・・・」
自分の吐いた言葉が感情を揺さぶり、遥の頬を真っ直ぐに涙が伝う。
「私なんかをさ・・・好きになってくれて・・・」
「・・・おまえだから好きになったんじゃねぇのか?」
慰めるように穏やかな声で武が話すと、遥は涙がこぼれないように少し上を向いて話す。
「・・・最後に恋出来てよかった・・・抜けてるけど優しくて、大事に想ってくれて・・・今日は・・・楽しかったなぁ・・・こんな毎日が続けばいいのに・・・」
「・・・」
「・・・こんな幸せが毎日、毎日・・・変わらず続けばいいのにな・・・」
「・・・あぁ」
「死ぬのは・・・幸せの終わりって事なんだね・・・」
「・・・おまえ・・・俺の妹でよかったな」
「うん・・・でも、なんで?」
「・・・なんとなくだよ」
「・・・変なの・・・」
「もう寝ろ?」
「・・・うん」
二人はそのまま、「おやすみ」と声を掛け合い部屋へと戻る。
そしてその頃竜司は、遥の部屋の外に腰を下ろして待っていた。
遥が部屋の前に戻ってくると、「おかえり」と声を掛け、そのまま遥を連れて予約しておいた混浴の露天風呂へと向かう。