幸せという病気
「行くなよ・・・どこにも・・・」
「・・・竜司・・・私は死ぬんだよ・・・?」
「ダメだ。死ぬな・・・」
「・・・でもね?私は病気・・・」
話を塞ぐように竜司は遥にキスをする。
その後少しだけ顔を遠ざけ、遥は微笑んで竜司の顔を見つめ、小さな声で伺う。
「・・・泣いてるの?」
「泣いてねぇよ」
「・・・泣いてるじゃん・・・」
「・・・そりゃ・・・泣くだろ・・・」
そして遥は笑顔で竜司の頭を撫でながら、優しく問い掛ける。
「素直だね・・・いつもいつも・・・今日はずっと一緒にいてあげるから・・・ね?・・・泣いちゃダメ・・・竜司」
「・・・今日だけか・・・」
「・・・もうっ!・・・・・・・・・・ずっとだよっ!」
二人は月明かりの下、長いキスをし、誰にも知られぬよう、聞かれぬように抱き合った。
誰にも邪魔されないように、密かに残された時間を、せめて悔やむ事がないようにと・・・。