幸せという病気
一時間後、動物園に着くと園内を走り、遥の姿だけを探す。
そしてようやく見つけると、遥は一人、疲れてベンチに座っていた。
竜司は何も言わず、遥の隣に座る。
すると下を向いたまま、遥は息を切らしている竜司に言葉を掛けた。
「・・・よくわかったね」
息を整え、竜司はそれに答える。
「場所だけはな・・・」
そして遥は遠くを見つめた。
お互いを見ないまま、竜司が続ける。
「遅くなって・・・ごめん」
すると遥は少しだけ微笑み、下を向いて答えた。
「寒かったぁ・・・」
その遥の言葉に、竜司は黙りこむ。
「・・・」
「今日は色んな動物見たよ?キリンとかライオンとかさぁ。大きくて凄かったぁ。なんか見てたら落ち着いた・・・でもみんな悲しそうな目をしてた・・・悲しい目は・・・やっぱり見たくないね・・・」
「・・・そうだな」
「・・・竜司ぃ」
「・・・ん?」
「ずっと一緒にいるって言ったのに・・・ごめんね・・・」
「・・・あぁ・・・」
「でも・・・」
「・・・」
「ずっと一緒にはいられない・・・」
「・・・」
「・・・永遠なんてないんだよ・・・?もうすぐバイバイしなきゃ・・・」
その時、閉園のアナウンスが流れる。
竜司は何も言えない・・・。
そして遥は、涙を一粒零した。
「・・・死に別れは嫌でしょ・・・?だから・・・今日で竜司とはもう・・・別れてあげるっ」
「・・・」