幸せという病気




そして風呂上りの武は、髪を乾かさないまま、外へ出てきた。


「いきなりどうしたの。まだ寒いなぁ」


「風邪ひくよ?髪乾かさないと」


「ん?そうだね」


それを聞くと、すみれは黙ったまま武の顔をじっと見つめる。



「・・・なんか付いてる?」



すみれは今にも泣きそうな顔で武を見つめたまま、首を横に振った。



「泣きそうじゃん」



その顔を見て、武が優しく笑って頭を撫でると、すみれはこらえきれず武に抱きついた。



「おっとと・・・どうしたぁ?」




「こっちのセリフだよぉ・・・」




「・・・ん?」




驚いた武に、すみれは泣き声で話す。




「なんで武、そんな悲しい顔するの?」




「・・・」




「平気なフリして、ホントは孤独で淋しくてどうしようもないんじゃないの?」





「・・・」










「武・・・壊れちゃうよぉ・・・」










「・・・おまえは優しいな」









「優しくない」









「じゃあなんで泣いてんだよ」
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