幸せという病気





「おぅ。どした?すみれ」

「こんばんは」

「あっ。こんばんは」

「今、家の前」

「家?誰の」

「会いに来ちゃった」

「いきなりどうしたの。まだ寒いなぁ」

「風邪ひくよ?髪乾かさないと」

「ん?そうだね・・・なんか付いてる?」

「・・・」

「泣きそうじゃん・・・どうしたぁ?」

「こっちのセリフだよぉ・・・」

「・・・ん?」

「なんで武、そんな悲しい顔するの?」

「・・・」

「平気なフリして、ホントは孤独で淋しくてどうしようもないんじゃないの?」

「・・・」

「武・・・壊れちゃうよぉ・・・」

「・・・おまえは優しいな」

「優しくない」

「じゃあなんで泣いてんだよ」

「大好きだからだよ・・・そんな悲しい顔しないで・・・?私がいるから・・・一人で抱え込まないで・・・」

「ありがとぉ・・・ホント、出逢えてよかった」

「ん?」

「それと・・・すみれじゃなくてよかった」

「・・・私じゃないって?」

「・・・俺で・・・よかった」

「それって・・・」

「ごめんな・・・俺・・・」

「・・・」

「死んじまうかもしんねぇ・・・」

「・・・やだょ・・・」

「病気に・・・」

「やだよぉ!!」

「・・・」

「・・・やだ・・・どこにも行かないって言ったじゃん・・・」

「・・・」

「・・・行かないって言ったじゃんっ!!」

「・・・」

「・・・ダメだょ・・・そんな事言っちゃ・・・ダメだょ・・・」

「こいつはすげぇよ・・・」

「え・・・」

「幸せがホントに形になって現れやがる・・・化けモンみたいに形を変えて・・・」

「・・・」

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