幸せという病気
そして詩織は、待ち合わせ場所に着いた。
行きかう人々を確認しながら、三十分程、時間が経つ。
一人、かじかむ手をこすりながら。
そして・・・。
竜司は来なかった。
やって来たのは、待ち望んでもいない人物・・・。
男が詩織に話し掛ける。
「あ。竜司来れないって」
「・・・来れないって、なんかあったの?」
その言葉に詩織は、竜司を心配する。
「・・・まぁ、用事出来たみたいだよ?」
「・・・そぉ・・・」
「だから今日はさ!!俺と遊ぼうよ!!」
「・・・今日は帰るね」
「なんで?」
「・・・友達と会ってたんだ・・・だから・・・戻らないと」
「いいじゃん、いいじゃん。抜けてきたんでしょ?」
「・・・ごめん」
「・・・なんだそれ。せっかく紹介されて来たのによ」
「・・・え・・・?」
「竜司にだよ」
どうゆう事・・・。
紹介・・・?
「竜司が俺に紹介してくれたんだよ。まぁいいじゃん!竜司どーせ彼女いるんだし。お互いフリー同士でさ!!」
なんで?
私の気持ち知ってるのに・・・。
「・・・帰る」
「待てって」
「放して!」
「好きなんだよ!!」
嬉しくないよ・・・・。
私が好きなのは・・・。
「付き合ってよ詩織ちゃん」
「・・・ごめん・・・帰るね・・・?」
「・・・そんなに好きなんかよ竜司が!!」
え・・・。
竜司君・・・。
いるじゃん・・・。
その場から帰ろうとした詩織は、隠れるように人ごみの中でタバコをふかしている竜司を見つけた。