幸せという病気

「・・・俺はお前の考えるような奴じゃない」

「・・・私は竜司君がどんな人でも、自分に嘘がつけないょ」

「・・・自分に?」

「竜司君を好きって気持ちに嘘つけない・・・」



それを聞いた竜司は下を向き、低い声で答えた。



「じゃあ俺は、他人も自分も信用出来ない」


「・・・竜司君・・・」


「俺は嘘ばっかりついて生きてんだよ」


「・・・そんな事・・・」


「人間なんて、裏切りばっかりだ・・・しょーもねぇ・・・」


「・・・なんかあったの?」


「・・・女が浮気してたよ」


「・・・彼女が?」


「あぁ。まぁ別にさぁ、知ってたし痛くも痒くもねぇけど・・・」


「・・・うん」


「・・・なんかこいつ見てると・・・泣きそうになるな・・・犬は裏切らねぇからよぉ・・・」




竜司のその姿を見て、心の痛みに耐え切れず、詩織は座っている竜司を抱き締めた。
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