幸せという病気
次の日の朝―――。



「香樹、先生って何歳だ?」

「ん~お兄ちゃんより年上かなぁ」


武がにやついた顔で香樹にそう聞くと、服を着替えながら香樹が答える。

すると横から遥が口を挟んだ。


「お兄ちゃん、先生好きになったんでしょ」

「いやぁ惚れたね・・・」

「早・・・。あっねぇ香樹ぃ、すみれ先生がお姉ちゃんになるかもよっ?」


遥がまた嬉しそうに香樹に話すと、それとは逆に心配そうに香樹は聞き返す。


「お姉ちゃんはどっか行っちゃうの?」

「ん?お姉ちゃんとすみれ先生と、二人もお姉ちゃん出来るんだよぉ?」

「何でぇ?」


香樹は意味がわからない様子。


「遥さん。馬鹿だなぁ結婚したわけでも付き合ったわけでもないだろ。期待持っちゃうじゃんか」


武が冷静なふりをしてそう言うと、遥が面白そうにからかいだす。


「期待ってお兄ちゃんが?」

「・・・香樹が」


少し考え、悔しそうに武が答えると、笑いながら遥が香樹に聞き出す。


「香樹ぃ、先生って彼氏いるって言ってた?」

「先生彼氏いるよっ?」



「・・・」



五秒程沈黙が続く・・・。



「・・・兄貴、終わりましたね・・・」



「・・・はっ・・・あはっ、早いよねちょっと・・・」





遥が苦笑いすると、武は目が飛んでいた・・・。







それから一ヵ月後。



季節は梅雨に入り、香樹の学校では授業参観が始まっていた。

そして武はその日、すみれの授業を見に来ていた。

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