幸せという病気



「何だ?伊崎・・・体調悪いのか?」



祐樹の声にとっさに遥は起き上がる。


「あっ・・・うぅ~ん。ごめんねこんなとこに呼び出して・・・」

「いいけど・・・なんだよ一体」

「あっ・・・あの・・・」

「チョコか?」

「え!?あっ・・・まぁ・・・ん~と・・・チョコじゃなくて・・・」

「え?違うの?」

素直に言葉を投げかけてくる祐樹の顔を見れぬまま、はち切れそうな心臓を掴むように、遥は左手を胸に押し当てた。

「チョコじゃなくて・・・クッキー焼いてきたんだ」

「へぇ~くれんのか?」

「・・・う・・・うんっ」

「ありがと。おいしそうじゃん」

「あっ・・・うんっ!あのっ・・・・祐樹くん・・・」

「ん?」

「・・・なんでもない・・・」

遥が首を振ると、祐樹が小さな声で話し出した。

「・・・遥の事は・・・嫌いじゃねぇから」

「え?」

「・・・別に嫌いじゃねぇって」

「あっ・・・ありがと・・・それって・・・」

「・・・ってかもう行くからなっ!?みんな待ってるし!」

「あっ・・・ごめん」

「じゃあなっ!」

そう言い、少し顔を赤らめて、祐樹は音楽室から走って出ていった。

それを見計らい、隠れていた茜が遥のもとへやってくる。

「遥ちゃん、どうだった?」

「・・・緊張して・・・」

「渡せたんでしょ!?」

「うんっ!それにねっ!嫌いじゃないって言ってくれたの!!」

「えー!!!それって両想いなんじゃん!?」

「えーっ!!ホントに!?」

「やったじゃん遥ちゃん!」

「茜ちゃんのおかげだよー!!」
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