幸せという病気
そして日が暮れ、そのまま幸せ気分を家に持ち帰った遥は、母親に今日の出来事を話した。
「よかったねぇ遥ぁ!!」
「うんっ!」
母親は自分の事のように喜び、遥をギュッと抱き締める。
「遥ぁ~。茜ちゃんに感謝しなくちゃねっ?」
「うんっ!ねぇ!私、茜ちゃんにもクッキー作ってあげたい!」
「よしっ!じゃあたくさん作るかっ!」
その日二人は、食べきれないほどのクッキーを作った。
有り余る愛情を全て注ぎ込むように・・・。
翌朝、普段通り学校へ行くと、昨日の噂がすでに広まっていた。
「遥ちゃん、なにか嫌な事言われても気にしちゃダメだよ?」
「うん・・・」
優しく声をかける茜に、遥は昨日作ったクッキーを渡す。
「茜ちゃん。これ、昨日また作ったんだっ。茜ちゃんに」
「えーっ!いいの?」
「友達だもんっ。当然だよぉっ」
「ありがとぉーっ!」
「ん~ん。こちらこそありがとぉ!」
いつからか仲良くなり、いつからか心を許しあう。
遥に出来た、初めての親友だった。
しかし終了式を迎え、春休みが終わりに近づいた頃、茜から一本の電話が鳴る。
母親に繋いでもらい電話に出ると、茜は普段より少し明るめな声で話し始めた。