幸せという病気
「お父さんとお母さんが離婚する事も悲しいけどね?きっと茜ちゃんは、遥と離れ離れになっちゃうのが辛くて泣いてたんだよ?」
「・・・」
「遥とずっと一緒にいたいから」
「・・・」
「だから泣いてたんだよ?」
母親のその言葉を聞くと遥は、とめどなく涙が溢れ出る。
「・・・遥も辛いけど、こんな時に茜ちゃんを元気付けてあげられるのは遥しかいないんじゃないかなぁ?」
遥は、茜の気持ちを考えてあげられなかった自分を後悔し、恥ずかしく思った。
そしてすぐに茜に電話をかける。
「・・・茜ちゃん?」
「どーしたの?遥ちゃん。こんな遅くに」
茜が電話に出ると、遥はすぐに謝った。
「ごめんね、茜ちゃん・・・」
「ん?」
「私、自分の事しか考えてなくて、茜ちゃん辛いのに、なんかっ・・・嫌だとか言っちゃって自分ばっかで・・・傷付けちゃったよね?・・・親友を傷付けるなんて最低で最悪で、でもどうしたらいいかわかんなくて・・・ごめん、ホントごめんねっ・・・ごめん・・・」
「ん~ん。ありがとぉ、遥ちゃんっ」
遥がうまく喋れず、こらえきれずに泣き出すと、茜は穏やかな声でお礼を言う。
「なんで・・・ありがとうなんて言われる筋合いないよ・・・」
「遥ちゃんが親友って思ってくれてて・・・嬉しいから」
「・・・茜ちゃん・・・」
「それが嬉しい」
「いつこっち出るの!?見送りに行くから!!」
「・・・三日後だよ・・・」
「絶対行くから!!」
「・・・うん。待ってるねっ!」
しかし、その二日後に茜は街を出て行く。
最後の別れを、受け止める自信と勇気が、まだ茜には無かった・・・。
そして遥は一つ学年が上がり、茜のいない学校へ通う。
やがて六月になり、遥は母親に頼み事をしていた。