幸せという病気

そして、半日かけて家に帰った遥達親子は、家族に旅行のお土産を渡す。

久しぶりに家族全員で夕食を食べ、その後遥は、部屋で一人、茜に貰った小包を開ける事にした。








「なんだろぉ・・・」












ゆっくり袋を切り、箱を開ける。

そしてその中身を見て、遥は優しい顔でにっこりと微笑んだ。









「茜ちゃん・・・こんなにいっぱいいつ作ったの・・・」










そこには箱いっぱいに、お返しのクッキーが詰まっていた。









遥は茜の為に。


茜は遥の為に。


当たり前に友達を想う気持ちを、遥はもっと大事にしようと思った。



『いつでも笑って生きていよう』



そう訴えかけるように、いつまでも写真の中の二人は笑い続けていた。





そして数日後、母親は出産の為に入院し、遥はその病室にいた。




「お母さん、お母さんっ」

「何?どうしたの?」

「あのね、とっておきの魔法があるんだぁ」

「え?何の?」

「元気になる魔法!」

「えぇ?」


遥の嬉しそうな顔に、母親は笑顔で受け答える。


「これを持ってると元気になれるのぉ」

「え?楽しみ~どれどれ?」

「はい。これ」


そして遥は、茜と二人で作った貝のネックレスを母親に手渡した。


「えぇ~!遥が作ったの!?」

「うんっ!茜ちゃんと二人でぇ」

「あっ、茜ちゃんに会いに行った時の?」


自慢げな遥を見て、母親は嬉しそうな顔でネックレスを付ける。


「似合う?」

「うんっ!すごい似合うよ!!」

「遥、ありがとぉ」

「これで元気な赤ちゃんが産めるねっ!お母さん!!」

「うんっ!自信が湧いてきたよっ」

「でしょでしょ~?」







やがて遥に弟が出来た。





それは、手紙で茜に知らされ、茜からもお祝いの言葉が届く。
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