幸せという病気
「ずっとずっと・・・遥を応援してるから」
「・・・死んじゃ嫌だ・・・」
「・・・だからこれから先・・・苦しい事があっても・・・負けないで・・・」
「お母さんがいないと私・・・」
「・・・大丈夫。遥なら・・・大丈夫だから・・・」
「・・・」
「・・・遥・・・」
「・・・ん?」
そして担当医と数名の看護士がやってくる。
やがて母親は遥の呼びかけに答えなくなり、遥は大声で母親の名前を叫んでいた。
連絡を受けた武は、まだ赤ん坊の香樹と祖母を連れ、母親のもとへとやって来る。
午前十一時二分。
家族の呼びかけに、母親は涙一つ零さず、優しい顔をして亡くなった。