幸せという病気
「・・・お兄さんは?」

「あっ、俺は~・・・なんでもいいんですけど・・・」

武は「激辛カツカレー」どうのなんて関係無く、ひたすらデート気分で照れている。


「そういえば名前、なんて言うんですか?」


すみれは、何気なく武に尋ねてみた。


「あっ・・・俺、武です」

「あっ。武さん・・・私、相川すみれです・・・なんか恥ずかしいんで、今まで通り先生って呼んで下さいっ」


すみれがそう言うと武は、何か変な距離を感じる。

三人は注文をし、武は夕飯をすみれと食べていく事を遥に電話で言っておく事にした。

すると電話の向こうから、遥はまた面白そうにからかいだす。


「香樹だけ迎えに行くから二人で食べてこればぁ?」

「気持ち悪いなおまえ・・・多分学校の話だからさ」

「ふ~ん、そうかなぁ、告られたりして!?キャー!やるねーッ色男!」

「バカッ!今時、色男っておまえさ・・・」


遥に冷やかされ、いつもの自分に戻った武は電話を切ると席に戻り、すみれに聞いてみた。


「で、今日はどうしたんですか?」


すると、すみれは少し笑顔が曇り、話し出す。


「実は・・・私、子供の頃から教師になりたかったんですけど・・・やっぱりいざなってみると、大変で・・・今日の授業参観もうまくいかなかったし・・・会議ってあれ、ほとんど説教みたいな」


そう言い、すみれは悩みを武に打ち明けだした。


「正直、自信がないっていうか・・・武さんに言うのも変なんですけど・・・」

「いや・・・大丈夫でしたけどね、授業」

「ふぅ・・・駄目だったんですよあれじゃ・・・子供達の気持ちがわかんない。ほらっ武さん私と同じくらいの歳で香樹くん育ててるじゃないですか。だから教育ってどんなのかわかるかなって・・・」


そんなすみれの言葉に武は、普段の自分で話が出来るようになってきた。


「俺がやってるのは、先生達がやってる教育と違うからなんとも言えないけど、ひとつ言えるのは子供を恐がっちゃ駄目だよ?無理に教えようとか叱ろうとするんじゃない・・・そうするから裏目に出たりする・・・だから恐がらず、もっと楽しめばいいんじゃないかな」

「楽しむ?」
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