幸せという病気
「え・・・当たり前じゃん」




「じゃあ・・・それまで元気でいてくれる?」





「・・・おぅ」






「ホント?」






「・・・ホントだよ?」






「じゃあ、この子が産まれてからも・・・ずっと一緒に元気でいてくれる?」







「・・・うん」








「毎日、三人でご飯食べて、三人でお風呂入って、三人で同じベッドで寝て・・・旅行行ったりとか・・・あっ、運動会とかさっ!親子の競技とかあるんだよ!?そうゆうのとか・・・色々・・・」












「あぁ・・・」












「って・・・そんな幸せ・・・描いちゃダメかな・・・」





武は、その言葉に胸が激しく痛む。

そしてそれを、どうにか励ましに変えた。



「・・・お母さんが弱気になっちゃダメだよ?」

「うん・・・武は、優しいね・・・」

「そんな事・・・」

「産んでいいって・・・武ならそう言うだろうなぁって・・・ホントはね?・・・なんとなくわかってた」

「そっか・・・」

「・・・でもこんなに喜んだ顔してくれるなんて・・・思ってなかったよ・・・?」

「・・・そう?」

「・・・私もそんな風に・・・」


すみれは、震えた言葉を詰まらせ、下を向いた。


「ん?」





「そんな風に・・・この子の命を喜んであげたいな・・・」





すみれの頬を、一粒だけ涙がこぼれる。

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