幸せという病気
この地震はすぐさまニュースで伝えられたが、そのニュースは人々を驚愕させた。
関東だけでなく、北海道から沖縄までの日本列島全てが大地震に見舞われていたのである。
しかし、それだけではなかった。
世界中・・・いや、地球全体が一瞬のうちに揺れていた・・・。
日本付近だけでも震源地は三箇所以上。
ただの連動地震なのか・・・。
謎が多く、巨大隕石か月が爆発したのか・・・人々は恐怖に追いやられた。
しかしそれは、後々人類に降りかかる恐怖の前兆に過ぎなかった――。
地震の後、家の無事を確認した武は、香樹の小学校に向かっていた。
香樹がまだ学校から帰ってきていなかったからだ。
そして、学校に着いた武は唖然とする。
「・・・なんだこりゃ・・・」
小学校は二次災害で火事になり、炎が校舎を覆いつくしていた――。
「まだ取り残された生徒も先生もいるらしいぜ、三階は逃げらんねぇよな・・・」
野次馬の声に武はぞっとする。
――香樹のクラスは三階だ!!――
「香樹ぃー!!」
武は香樹の名前を叫ぶと、校内へ入ろうとした。
危険だと止めに入る消防隊員を振り切り、校舎へ走っていく。
その姿は・・・あの時の変貌した父親にそっくりだった・・・。
そして火は二階から出火し、逃げ遅れた生徒、教師は火の学校に取り残されていた。