幸せという病気
「・・・これ・・・あげる」

「わぁ~!可愛い~。ありがとぉ~」

「うん・・・」

「えっ?でもどうして?」



その答えは、昨日の昼間・・・。



「香樹~、作戦立てないか?」

「作戦?」


病院の屋上。

竜司が香樹にそう聞くと、香樹は不思議そうな顔をした。


「今、お姉ちゃん検査中で、今日は男と男の話に邪魔入んないからさっ」

「あゆみちゃんの話ぃ?」

「そう・・・と、俺と遥姉ちゃんの話・・・」

「お姉ちゃん?」


香樹が聞き返すと、竜司は笑顔で遠くを見つめる。


「今日・・・お姉ちゃんにちゃんとプロポーズしようと思ってんだ、俺」

「結婚するのぉ?」

「したら俺、お兄ちゃんだぞ?香樹の」

「今は違うのぉ?」

「まぁ今もだけど・・・だから一緒に考えようぜっ香樹っ」

「うんっ!」

「まず香樹君・・・あゆみちゃんは何が好きだ?」

「え・・・何がって?」

「ほら・・・例えば動物」

「さぁ~」

「じゃぁ、食べ物」

「なんだろぉ~」

「じゃぁ、服とか」

「ん~・・・」

「じゃぁ、好きな男の子」

「・・・さぁ~」

「おまえ全然知らねぇじゃんっ」

「・・・だってぇ・・・」

「わかった、わかった。じゃぁさ、家族構成はどうなんだ?」

「え?」

「姉妹がいるのかとかさ」

「・・・さぁ~・・・でも・・・」

「ん?」

その時、香樹の顔が曇った。

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