幸せという病気
武が哀れむ様な声でそう言うと、香樹が武に訴えかけた。



「先生を怒っちゃ駄目!」



香樹はすみれにしがみつき、恐さで泣きじゃくる。


そんなすみれを見て武は、腰を下げ、香樹の頭を撫でながらすみれに優しく話し掛けた。




「先生・・・ありがとう・・・子供八人も、よく一人で守ったね・・・頑張った」




武のその言葉に、すみれは一気に我慢が吹き飛び、震えながら泣く。




「恐かったね・・・もう大丈夫だから・・・」



そう言いながら思い切り武がすみれを抱き締めると、やがてそのぬくもりで、すみれは少し落ち着きを取り戻す。





そして武は・・・。






穏やかな気持ちと、少し興奮冷めやらぬ気持ちが相まって、その想いを告白してしまった・・・。






「先生・・・俺、先生の事・・・」










「・・・」















「・・・好きだよ・・・」










すみれは鼻をすすりながら、ただ黙っている。











「・・・ごめん・・・帰ろうか・・・」









二人は少しの間沈黙が続き、やがて武は全員を連れて外に出た。






そして一方、遥は病院にいた。


地震で頭を強く打った優はその後、ショックと貧血で倒れ、病院で検査を受ける事になる。

病院内は地震による被害者で溢れかえり、遥は優の検査が終わるのをじっと待っていた。

するとそこに、優の彼氏が現れ、遥に話し掛ける。

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